旅館 青野屋

 銚子市松岸町の利根川そばに、青野屋という旅館があります。夏場を中心に合宿等に利用されているそうですが、この旅館の最大の特徴は、ラジウム温泉が湧出していることです。銚子市内にも犬吠埼周辺に温泉がありますが、いずれも塩化物泉で、泉質が全く異なります。
 
 温泉棟は、後から増築されたせいなのか、玄関からかなりクネクネと廊下を曲がり、男湯の脱衣所に案内されました。床はカーペット敷きになっていて、脱いだ服を入れるカゴやとびら無しのロッカーの他、イス、体重計なども置いてあり、小ぶりの銭湯といった感じです。午前10時過ぎということでまだ誰も来ておらず、写真も撮りたかったので、ラッキーという気持ちで、浴室へ。
 湯が張られた浴槽は2つあり、左側は普通の湯で、右側がラジウム温泉になっています。(奥の小窓の向こう側には、檜の浴槽がありましたが、湯は張ってありませんでした) 普通の湯で掛け湯をして軽く体の汚れを流してから、底が見えないラジウム温泉の浴槽の深さを手で確かめて(私は足に障害があるため)、浴槽に身を沈めました。
 湯の色は茶褐色(コーヒー色)で、透明度は20p弱、若干のぬめり感がありました。硫黄臭を感じる人もいるようですが、私は感じませんでした。
 浴槽には、加温した温泉が出る蛇口と、源泉が出る蛇口があります。
 私が入った時は、ややぬるめだったので、加温した方の蛇口をひねって豪快に温泉湯を出してみましたが、浴槽が広いせいか、なかなか温度が上がりま
せんでした。
 だ〜れもいないお風呂に30分程温まってから出ましたが、ラジウム温泉の効果なのか、しばらく汗が引かず、体が温かくなっていました。
 この温泉については、平成9年に出版した『とっておき、銚子散歩』の初刊本には入れましたが、諸般の事情で、平成17年に出版した改訂版からは削除してしまいました。しかし、実際に入浴して見て、こんないい温泉が銚子にあったことに、ちょっと感動してしまいました。

 帰り際に、旅館の方にお聞きしたところ、この温泉は、地下800m位のところから汲み上げていて、そのままでは温度が低いので、ボイラーで加温しているそうです。お客さんについては、近隣のお年寄りなどの利用があり、中には数日間滞在する人たちもいるそうです。銚子で「湯治」とは驚きです!。(看板には確かに「温泉湯治」と書いてありますが)

 観光客や温泉好きだけでなく、銚子市民の方も一度訪れて見る価値のある温泉だと思います。
                        2010年10月24日入浴

旅館 青野屋全景 旅館 青野屋の入り口
▲旅館 青野屋の全景
右側の平屋部分が温泉棟
▲旅館 青野屋の入り口
入り口前の看板 浴室内(男湯)
▲入り口前の看板 浴室内(男湯)
左は普通の湯で、右がラジウム温泉(加温)


泉質 不明
※私は未確認ですが、某サイトによれば、昭和16年に東京市衛生試験所が発行した「試験成績書」に、「ラジウム・エマナチオンヲ含有セルコトヲ認ム」と書いてあるそうです
効能 神経痛・ムチウチ症・低血圧・高血圧・婦人病・胃腸病・自律神経失調症・関節炎・肝臓病・美容美肌・糖尿病・ぜんそく・腎臓病・水虫・痔疾・動脈硬化・肩こり・ねんざ・打撲・腰痛・冷え症・不眠症・更年期障害・精力減退
(浴室内の効能書きによる)
料金 大人 800円、子供 400円
時間 午前10時〜午後8時 (日曜日のみの営業
住所 銚子市松岸町1−58
電話 0479−23−4866(青野屋)
0479−22−0352(キャルネ・ド・サントゥール<旧モアパーク>)
 
備考 ・茶褐色透明な鉱泉を加温
・週一の営業日も都合により臨時休業する場合がありますので、問い合わせをしてから行くことをお勧めします

・佐原方面から来た場合、国道356号線の「松岸駅入口」交差点を左折し、次の「松岸町北」交差点を直進して150m先の右側。(大きな駐車場があり、反対側は、白亜の結婚式場)


入浴余話
 ここでちょっとした発見がありました。前出の本にも掲載してある「長崎の巨大像」の建設者・一谷良雄さんが、銚子の人だったらしいことがわかりました。
 一谷さんが昭和50年代前半頃に病気になって絶望していた時に、この温泉の事を知って温泉治療(感謝状記載)をしたところ、半年ほど経った頃に効果が表れて回復されたそうで、それを喜んだ一谷さんが、青野屋さんに感謝状を贈ったようです。

一谷良雄さんから贈られた感謝状 長崎の巨大像(左が元法大権現、右が魚藍観音)
▲一谷良雄さんから贈られた感謝状 ▲一谷さんが建設した長崎の巨大像
〜左が元法大権現、右が魚藍観音〜