古の名言集 |
【 メニュー 】 |
菜根譚 - 生きる知恵 - |
1.無味の欲望 人は常に終わった後で後悔する。一時の愚かな迷いに惑わされなければ、本来の目的が定まって正しい判断ができる。 人常以事後之悔悟、破臨事之癡迷、則性定而動無不正。 2.勤勉の目的 勤勉は美徳であるが、苦しさが多過ぎれば、やる気を失い、心を満足させることはできない。 憂勤是美徳、多苦則無以適性怡情。 3.時には回り道 人情は変わりやすく、人生の道は迷路のようなものだ。 人情反復、世路崎嶇。 4.一歩遅れの世渡り 社会生活を送るには一歩遅れているくらいでなければ、蛾が蝋燭(ろうそく)の火に飛び込んだり、垣根に角(つの)を引っ掛けた羊のように安楽な生活はできない。 処世不退一歩処、如飛蛾投燭、羝羊触藩。如何安楽。 5.満ち足りない余裕 身分以上の生活を送る者は、いくら私財を蓄えても満ち足りた思いをすることができない。どうして倹約家は貧乏暮らしをしているのに余裕があるのだ。 奢者富而不足。何如倹者貧而有余。 6.苦労と喜び 苦労の中に心を楽しませる目的が見つかる。何事も順調な時に、失意の原因が発生する。 苦心中、常得悦心之趣、得意時、便生失意之悲。 7.中庸の徳 欹器(いき)は水を満たせば倒れ、撲満(ぼくまん)は中身が無ければ割られずに済む。ゆえに君子は、平均を好む」と古の人が言った。 欹器以満覆、撲満以空全。故君子寧居無不居有、寧処欠不処完。 8.娯楽は控え目に 心を喜ばすものは、ことごとく身を滅ぼし徳を失う媒体である。ほどほどにしておけば後悔することはない。 快心之事、悉敗身喪徳之媒。五分便無悔。 9.用心する わずかな邪念が鬼神の掟(おきて)を破り、たった一言で社会の和を乱し、たった一度の行為が子孫にも責任を負わせることがる。用心するに越したことはない。 有一念而犯鬼神之禁、一言而傷天地之和、一事而醸子孫之禍者。最宜切戒。 10.徳は事業の基礎 徳は事業の基礎である。基礎がしっかりしていない建物で長持ちするものはない。 徳者事業之基。未有基不固而棟宇堅久者。 11.自分の居場所 君子は悪事に近づかず、また善い行いをして評判になるのを避ける。一つに溶け合った和(なご)やかな雰囲気こそ身を寄せるための貴重な場所である。 君子不近悪事、亦不立善名。只渾然和気、纔是居身之珍。 12.災難のもと 陰謀や怪習、異端な行動やトリックは、世渡りにおいて災難の子である。 陰謀怪習、異行奇能、倶是渉世的禍胎。 13.つつましく暮らす つつましく暮らせば不自由はない。 惟倹則用足。 14.清廉潔癖の害 世間を渡るには、あまりにも清廉潔癖ではいけない。汚辱や不正など汚いものすべてを腹の中に納めてしまう度量が必要である。 持身不可太皎潔。一切汚辱垢穢、要茄納得。 15.噂に振り回されるな 悪い噂を聞いても、憎んではならない。おそらくは他人を悪く言う人たちの讒言(ざんげん)が洩れているだけだ。良い噂を聞いても、ただちに親しくなってはならない。おそらくはずるがしこい人たちの悪だくみであるから。 聞悪不可就悪。恐為讒夫洩怒。聞善不可急親。恐引奸人進身。 16.足をすえる 吹きつける風、叩きつける雨。そんなときはしっかりと地に足をすえよう。 風斜雨急処、要立得脚定。 17.口は心の門 口は心の門である。口をしっかり守らなければ、心の奥をさらけ出してしまう。 口乃心之門。守口不密洩尽真機。 18.一歩譲る 先を争えば小道はせまくなる。一歩ゆずれば、それだけ広くなる。濃い味付けはすぐに飽きる。少しでも淡白にできれば、それだけ長く楽しめる。 争先的径路窄。退後一歩自寛平一歩。濃艶的滋味短。清淡一分自悠長一分。 19.形あるものは滅びる 成果は必ず追い越される。このことを理解していれば過大な成果を求めることはない。生きているものは必ず死ぬ。この事を知っていれば長生きに執着することはない。 知成之必敗、則求成之心、不必太堅。知生之必死、則保生之道、不必過労。 20.先に咲けば、先にしおれる 長い間うずくまっていた鳥は、高いところを飛ぶ。先に開いた花は、他よりも早くしおれる。 伏久者飛必高、開先者謝独早。 21.あぶく銭の誘惑 過剰な恩賞や、理由なき贈り物は、疑似餌か、人生の落とし穴である。 非分之福、無故之獲、非造物之釣餌、即人世之機?。 22.「減らす」のが何より 人生は一分を減ずれば、一分は多くなる。もし交遊を減らせばゴタゴタがら遠ざかる。言葉を減らせば非難を受けることが少なくなる。思慮を減らせば精神疲労が少なくなる。利口ぶるのを減ずれば本心を傷つけずにすむ。減ずるを求めずに増やすことを求めれば、手かせ足かせをして生きるようなものだ。 人生減省一分、便超脱一分。如交遊減便免粉擾。言語減便寡愆尤。思慮減則精神不耗。聡明減則混沌可完。彼不求日減而求日増者、真桎梏此生哉。 |