古の名言集 |
【 メニュー 】 |
呻吟語 - 生きる知恵 - |
1.懐(ふところ)を育てる 自分の恵まれているところは、いくらかは覆い隠しておくことだ。これは隠すことによって懐の深さを育てるということである。他人の短所は、いくらかは隠してやる必要がある。これは短所を隠してやることで心の大きさを育てるということである。 自家好処、掩蔵幾分。這是涵蓄以養深。別人不好処、要掩蔵幾分。這是渾厚以養大。 2.欲望と依存症 世の中の悪しき欲望には限りがなく、人の精力には限りがある。限りある精力で無限の欲望と闘えば、欲望が勝つこと幾千万だけでなく、挙句の果てに病気にかかり死に至る。 世之欲悪無窮、人之精力有限。以有限与無窮闘、則物之勝人、不啻千万、奈之何不病且死也。 3.口は災いのもと 心には堀が必要である。口には城門が必要である。心に堀があれば感情が外に出ることはない。口に城門があれば失言を回避できる。 心要有城池、口要有門戸。有城池即不出、有門戸則不縦。 4.才能を隠す 頭の切れる人は世の中から恐れられる。それなのに切れ味を暴露する。才能は世の中から妬(ねた)まれる。それなのに才能を売り込もうとする。 精明世所畏也。而暴之。才能世所妬也。而市之。不没也夫。 5.剛直と明知 剛直と明知は世渡りの妨げとなる。剛直でありながら素直さがあり、明知でありながら知識をひけらかさなければ、禍から免れることができる。 剛明世之碍也。剛而婉、明而晦、免禍也不。 6.五つの争い 私は五十歳になって、五つの争わない旨味を悟り得た。人に聞かれると、こう答えている。金持ちとは富を争わない。出世欲の強い人とは地位を争わない。プライドが高く着飾る人とは名声を争わない。傲慢な人とは礼節を争わない。血気の盛んな人とは物事の是非を争わない。 余行年五十、悟得五不争之味。人問之。曰、不与居積人争富。不与進取人争貴。不与矜飾人争名。不与簡傲人争礼節。不与盛気人争是非。 7.思い通りにはならない 世間には一所として思い通りになることはなく、一日として思い通りになることはない。ただ度量が広く大きければ、受け入れてもらえる場合がある。例の度量の狭(せま)く浅い者は、むなしく自ら悩みを大きくするだけだ。 世間無一処無払意事、無一日無払意事。惟度量寛宏、有受用処。彼局量褊浅者、空自懊恨耳。 8.四つの困難 進言には四つの困難がある。相手を詳しく知り、自分を詳しく知り、事実を詳しく知り、タイミングを詳しく知る。一つでも詳しく知らないことがあれば、進言は受け入れられない。 進言有四難。審人、審己、審事、審時。一有未審、事必不済。 9.才能ある小人 問題が多いときは、才能のない君子を用いるより、才能のある小人を用いるほうがよい。 当多事之秋、用無才之君子、不如用有才之小人。 10.最大の不幸 最大の幸福とは、不幸のないことである。最大の不幸とは、幸福を求めることである。 福莫大於無禍。禍莫大於求福。 11.原因究明 鍵には合うものと合わないものがある。合えば開き、合わなければ開かない。また、合っていても開かない時がある。必ず開かない理由がある。また突然開かなくなる時がある。必ず開かなくなった理由がある。問題には必ず理由があり、問題に対応するには必ずその原因を突き止める。 鎖鑰各有合。合則開、不合則不開。亦有合而不開者。必有所以合而不開之故也。亦有終日開、偶然抵死不開。必有所以偶然不開之故也。万事必有故。応万事必求其故。 12.見栄を張る病 見栄を張る病は、生活を充実させることで癒すことができる。 濶大之疾、医以充実。 |