F1デザインの歴史
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【1950年代】
 1950年、F1グランプリは始まりました。この年の参加マシンは左図のような形状でデザイン(設計)されていました。この形状は、当時の自動車の典型的なものでした。F1初年度に優勝したアルファロメオ158もこの形状のデザインでした。
 1950年代前半には、葉巻型デザインが登場しました。エンジンはマシンの前方に配置され、排気管がボンネットからマシンの後方へ向かって非常に長く設計されています。
【1960年代】
 1960年代、デザインの主流はエンジンを車体の中央に置くミドシップレイアウトに移行していきます。エンジンを後輪よりもやや前方に配置する設計ですので、運転席がそのぶん前方へ移動しました。
 1960年代後半にはウイングを装着したマシンが現れました。フェラーリ312は、葉巻型マシンにウィングを装着したマシンでした。
【1970年代】
 この時代の代表的なデザインは、くさび型です。葉巻型では常識だった車体最前部にラジエターを置くという配置は見直され、ラジエターはマシンサイドに配置されました。
 前輪と後輪の間に存在する空間を有効に利用するというアイデアは、その後のF1デザインの根幹となっています。
【1980年代】
 くさび型のデザインは更に空気を切り裂く形に進化し、モノコックの素材はアルミからカーボンファイバー(炭素繊維)に置き換えられました。
 レーシングマシンは金属の塊であるという常識は、カーボンファイバーがスピードアップに有効な素材であるという認識の前に消え去りました。
【1990年代】
 1990年代、電子制御技術が加速度的に発展しました。スピードは上がったのですが、安全性は置き去りにされました。この状況を問題視した国際自動車連盟はハイテク規制ルールを作りました。
 ハイテク規制ルールが作られた矢先、死亡事故などのアクシデントが多発しました。そのため、さらなる安全性向上のルールが急設されました。
 1990年代の中ごろには、横からの衝撃から頭部を守るためにヘッドプロテクターの装着が義務化されました。
 くさび型のマシンデザインは、ハイノーズ型へと進化しました。
【2000年代】
 CFD(数値流体力学)というコンピュータによるシミュレーション技術によってマシンの設計が行われるようになりました。各種規制の中でも空力によるタイムアップがもっとも効率が良いことから、空力開発に重点が置かれるようになりました。空力とは、空気の流れを制御して、より多くのダウンフォースを得ようとするものです。
 サイドポンツーンの下側は大きくえぐれ、フロント部分にブリッジ・ウイングを採用するチームが増えました。