HONDA RC-F-1
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RC-F-1 1.0X
 1991年、栃木研究所で製作されたF1マシンがRC-F-1 1.0Xです。
 この時、ホンダはマクラーレンにエンジンを供給していました。マクラーレンのマシンは空気力学的にみて、ライバルチームよりも劣っていることが明白でした。ダウンフォースが足りなかったのです。
 マクラーレンは、足りないダウンフォースを補うためにウイングを立てて対応しました。エンジンパワーが上がるたびにウイングの角度を大きくしたのです。ウイングを立てるとダウンフォースは増えますが、空気抵抗も増えてしまいます。空気抵抗は、速度の二乗に比例して大きくなるので、小さな空気抵抗が高速域では大きな障害となるのです。
 ホンダが苦労を重ねてエンジンの出力を上げても、マクラーレンがウイングを立ててしまうのでライバルチームとの差を広げることができませんでした。
 しかし、セナは3度目のチャンピオンを獲得、マクラーレンもコンストラクターズ・チャンピオンを獲得しました。これらは、開幕4連勝の貯金によって得たものであり、来季の苦戦を予感させました。
 開幕から4連勝を飾ったマクラーレンのMP4/6ですが、その後ウイリアムズの猛追を受けました。MP4/6の慢性的なダウンフォース不足はシーズンを通して解消されることはなく、ホンダは不満を募らせました。このような状況の中、車体を製造しているマクラーレンを納得させるには、ホンダにも車体作りのノウハウがなければならないという結論に至ったそうです。その結果、栃木研究所で製作されたマシンがRC-F-1 1.0Xです。「白いカラス」という愛称で呼ばれていました。
 ホンダは、エンジンサプライヤーとしてF1に参戦中だったので、余計な疑惑が生じないように、マシンに白いペイントを施してF3000を装ったそうです。マシンの製作理由も社員の自己啓発活動だったとか。
 白いカラスは、マクラーレンのマシンを参考にしているため外見が似ているそうです。参考にしたマシンは、おそらくMP4/6です。そう考える理由は、フロントウイングの形状が似ている点と、プッシュロッド式のフロントサスペンションを採用している点です。モノコックの形状も非常に良く似ています。

RC-F-1 1.0X
RC-F-1 1.5X
 前年完成したRC-F-1 1.0Xは、思うような性能を示すことができませんでした。そこで新たに作り直したのがRC-F-1 1.5Xです。おもに空力面が見直され、セミオートマチック・トランスミッションも搭載されました。
 サイドポンツーン後方下側がえぐれたデザインは、当時どのチームにも見られなかった発想でした。翌年ウイリアムズが採用すると、マシンデザインの主流になっていきました。ホンダのアプローチの正しさが証明されたのです。残念なことは、F1から撤退していたことでした。
RC-F-1 1.5X
RC-F-1 2.0X
 RC-F-1 2.0Xは、1996年に完成したF1マシンです。1995年に大きく変わったレギュレーションに準じたF1マシンを作ることが目的でした。一番の変化は、ステップドボトムの採用でした。
 ステップドボトムの底面には、強化加工されたベニヤ板まで取り付けられており、ここまで再現するのかと感心しました。
 この時、HondaはF1に参戦しておらず、レギュレーションに準じたエンジンを持っていませんでした。そのため、無限ホンダから提供されたエンジンを搭載しました。
RC-F-1 2.0X