『一冊きりの落書帳』


不安と孤独とがオレの中で入り乱れ、心もてあそぶ。
つまらぬことだと笑ってみても、ただ虚無の闇へ消えるだけ。
これからオレは、何を求め何を口にすればいいのだろう。

気まぐれ子猫あやすように嘘ぶいてみても、噛み合わぬ歯車はただ空転を続けるだけ。
寄せては返す波に砂の城が崩される。
いつまでも休みなく降り続く冷たい雨の滴に、塗ったばかりの絵の具がにじんでゆく。
そして、冷たい雨はやがて雪へと変わりゆく。

たった一冊きりの落書帳。
ゆっくり舞い散る雪たちに、その文字は消えてゆく。
何もかも真っ白に染め上げながら雪は降り続く。
いつまでも、いつまでも雪は舞い落ちる…。
お前の中からオレの影が消えてゆく。
ゆっくりと、そして着実に雪は降り積もる。
後に残るのは白紙のままの落書帳…。
オレにはそれを止めるすべなどありはしない。
だからオレは今日も子猫をあやして嘘ぶいてみせる。

そう、お前の中からオレの影が消え去ることが怖いから。
そして、誰よりもお前のことが好きだから…。


Tomoi Fujisaki

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