東日本大震災の記憶
 
- 低線量被曝 -
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 自然界にも放射線は存在しています。それ以外で浴びる放射線の量を年間1mSv(ミリシーベルト)にしようと国は取り組んできました。しかし、福島第一原子力発電所で起きた事故をうけて20mSvに引き上げられました。

 広島・長崎の原爆投下から数カ月のうちに、少なくとも15万人以上の命が失われたといわれています。生存者にも健康への影響が続きました。
 放射線の人体への影響は、広島・長崎の被爆者の健康調査を基に推定されています。調査対象となった人の数は9万3千人以上に上ります。健康調査は1958年から始まりました。
 爆心からの距離で比較すると、距離が近いほど白血病(血液の癌)で亡くなる人が多いという調査結果が出ました。他の癌でも同じ傾向が見られました。
 放射線を研究していたマリー・キュリーは白血病で亡くなりました。このように原爆被爆者の健康調査が始まる以前から、被爆者の間で白血病が増えていることは知られていたのですが、原爆投下によって放射線と癌(がん)との関係が鮮明になりました。
 広島原爆の場合、爆心から1Kmの距離で直接放射線を浴びると6,820mSvの放射線を浴びます。1.5Kmの距離では618mSv、2Kmの距離では80mSv、2.5Kmでは13mSvまで低下します。広島・長崎の9万3千人の調査対象者のうち3分の2以上が100mSv未満の低線量被曝でした。
 こうした調査から、被曝線量が増えると、それに比例して癌で死亡する確率が高くなることが明らかになりました。

 その後、ネズミや人間の血液(リンパ球)などを使って低線量被曝に関する実験がいろいろな角度から行なわれました。それでも、低線量被曝が生体に与える影響は良く分からない(実験結果からは明確に判断することができない)というのが本音であるようです。ただし、子供は放射線に対する感受性が高いということだけは断言できるそうです。
 
2011年12月20日