東日本大震災の記憶
 
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次世代エネルギー
 原子力発電について次のような意見があります。「蒸気を使うという19世紀の遅れたテクノロジーであり、その存続についてイエスとかノーとかいうのはつまらない議論。もっと進んだ技術について話し合うべきだ」
 太陽光発電など、蒸気を使わない発電方法は開発されています。蒸気を使う場合でも、原子力や石油に頼らない資源が採取可能になりつつあります。
 以下に次世代エネルギーの特徴を示します。
 
●太陽光発電
 太陽光発電は、太陽の光を電気に変えるので、発電時に二酸化炭素が発生しません。しかし、曇りや雨の日は発電量が減ってしまいます。夜間は発電することができません。
 4ギガワットの太陽光発電施設で実際に発電できる電力は0.5ギガワット程度です。太陽光発電では、夜は発電できないし、早朝や夕方など、太陽高度が低い時には発電量が低下します。曇りや雨の日も同様に低下します。これらの条件を考慮すると、実際の発電量は最大発電量の8分の1といえます。

●風力発電
 風の力を借りてプロペラを回して発電します。太陽光発電と同様に、発電時に二酸化炭素を発生しません。しかし、プロペラが回転するときに低周波音が発生し、近隣住民に健康被害が出るといった問題があります。その他、風力発電に適した場所をいかにして確保するのかといった問題があります。
 風速が2倍になると風力発電の出力は8倍になります。しかし、あまりにも風が強いと発電施設の損傷も考えられるため発電を中止します。効率よく発電するためには、一年を通して適度な風が吹く地域が必要です。

●地熱発電
 火山の地下にはマグマがあります。それによって暖められた地下の蒸気を利用してタービンを回し発電をします。
 地熱発電に適した土地は国立公園の中や温泉地に多く、国立公園法によって建設が出来ない、観光資源の温泉と競合してしまうため地元の協力が得られないなどの問題があります。また、火山性の自然災害に遭遇しやすいというデメリットがあります。

●波力発電
 海の波の上下運動を空気の流れに変換して、その空気の流れでタービンを回して発電するのが波力発電です。注射器の押子を押すと、中の空気は外に押し出されます。押子を引くと、外の空気が注射器に引き込まれます。波力発電では、これと同じ原理で空気の流れを作り出します。空気の動きが変わっても同じ方向に回る特殊なタービンを使用しています。
 自然のエネルギーを利用するため発電量が不安定といった問題に加え、海洋生物への影響が不明、コストが高いといった問題があります。

●バイオマス発電
 廃材や家畜の排泄物、食品廃棄物などから発生するガスを使って発電をします。あるいは、そのまま燃やして発電をするというのがバイオマス発電です。
 植物は二酸化炭素を吸収して成長します。燃やした時に出る二酸化炭素と相殺されるので、結果として地球温暖化につながる二酸化炭素は増えないといわれています。反面、コストがかかるという問題があります。

●シェールガス
 頁(けつ)岩という岩石の中に微量に含まれている天然ガスを取り出して火力発電をすることができます。頁岩層からシェールガスを取り出す技術が確立したことで、大きく注目されるようになりました。シェールガスの埋蔵量は、2008年の調査で約150年分と推計されています。

●メタンハイドレート
 氷状に固体化したメタンガスをメタンハイドレートといいます。日本の海底下に豊富に存在するのではないかと予想されています。燃やした時に石油ほど二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物が出ないといった特徴があるのですが、安定的に採掘する技術が確立されていないという問題があります。
 メタンガスは温室効果が強いガスです。その温室効果は二酸化炭素の20数倍です。採掘時の事故などで大気中に放出される危険性が指摘されています。

●バイオエタノール
 トウモロコシやサトウキビから作られるアルコールのことをバイオエタノールといいます。ガソリンに代わるエネルギーとして注目されています。モータースポーツのインディーカーでは、エンジンの燃料として採用しています。
 トウモロコシやサトウキビは食料であるため、食べ物を燃料にしてしまって良いのかという世論があります。
 海藻からバイオエタノールを製造する技術、微生物のミドリムシから灯油に近い性格の油を製造する技術も開発されています。
 今後、爆発的に増えるであろう世界人口を養うためには、畑で燃料を栽培する余裕なんて無いかも知れません。バイオエタノールでエネルギーを確保するには、いかにして用地を確保するのかという問題があります。
 日本では戦後、急激に電力消費が伸びました。オイルショックを経験すると、衰えることがない電力需要に対応するため、原子力発電が始まりました。1963年10月26日、茨城県東海村の東海発電所で原子力発電に成功しました。
 原子力発電は安定的に電力を作り出すことができるのですが、使用済核燃料(核のゴミ)の処理をどうするのかという問題が残されています。2011年までに日本の原子力発電所が作り出した核のゴミは、広島原爆の約120万発分にもなるそうです。
 ウラン燃料の使用期間は3年程度で、それを過ぎると新しいものと交換します。使用済核燃料は年間1,000t出てくるそうです。使用済核燃料の管理には数万年という時間が必要で、数万年という長期間にわたって人類が安定して管理できるのかという疑問は解決されていません。
 増え続ける核のゴミ問題を終息させるためにも、次世代エネルギーの早急な開発が望まれています。
 *原子力発電は、温室効果ガスを出さないから地球にやさしいといわれています。それとは逆に、燃料棒を冷やすために大量の水が温められて海に放出されており、それが地球温暖化を進めているという説もあります。