コンピュータ資料館
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資料室
 コンピュータはソフトウェアが無ければその性能を発揮することができません。プログラム言語から各種ツールまでを紹介し、ソフトウェアについて理解を深めていただきます。
 ■プログラム言語

マシン語とアセンブラ
 コンピュータが理解できる言葉はマシン語だけです。マシン語は、16進数で表記される、非常に分かりにくいプログラム言語です。初期のプログラマーはマシン語でプログラムを組んでいました。

 アセンブラは、ニーモニックとオペランドがらなるプログラム言語です。ニーモニックは命令、オペランドは引数です。
 ニーモニックは英単語のスペルを組み合わせたもので、CPUの種類ごとに異なります。
    ・LD…Load
    ・RET…Return

 マシン語は第一世代プログラム言語、アセンブラは第二世代プログラム言語に分類されています。


FORTRAN
 FORTRAN(FORmula TRANslation)は、IBMによって開発された科学技術計算用のプログラミング言語。史上初の高級プログラミング言語です。高級というのは、人間が話す言葉に近い表現で記述できるという意味です。
 FORTRANは、命令の記述が数式の表現と似ているため、複雑な計算式のプログラミングがやりやすいという特徴があります。第3世代プログラム言語に分類されています。
FORTRANのコーディング規則
1〜5桁目 行番号を書く。1列目にCを書くとその行は注釈行になる。
 →列のことはカラムと呼びます
6桁目 継続行であるときはここに任意の文字(空白又は0以外)を書く。
7〜72桁目 本文を書く
73〜80桁目 連続番号を書く。(行を識別するための番号、本文には影響しない)
COBOL
 COBOLは、COmmon Business Oriented Language(汎用商業目的言語)の頭文字をとって命名されました。開発の中心となったのはアメリカ国防総省です。
 戦争を始めるためには、膨大な量の物資を管理しなくてはなりません。管理する側からは、物資の横流しも大きな問題になっていました。無駄をなくすためにも、正確な管理が必要だったのです。

 COBOLは、FORTRANの次に開発された高級プログラミング言語です。事務処理用に開発されたため、基本的に演算は四則演算(+、−、×、÷)のみでした。ですから科学技術計算には向きませんでした。
 しかし、事務処理の分野においてCOBOL以上のプログラム言語は無いと言って良いでしょう。


BASIC
 BASICは、アメリカのダートマス大学で教育用として開発されたプログラム言語です。文法はFORTRANを基にしています。
 このとき開発されたBASICは、一台のコンピュータに複数の端末が接続されたタイム・シェアリング・システム(TSS)というシステムで動いていました。

 プログラム言語には、二つの種類があります。一つは、使い勝手は悪いのですが実効速度を重視しているコンパイラと呼ばれるもの。もう一つは、実効速度を犠牲にして、使い勝手を良くしたインタプリタと呼ばれるものです。
 ダートマス大学で開発されたBASICは、実効速度を重視したコンパイラ型でした。

C言語
 PDP-11というコンピュータの基本ソフト”UNIX”を記述するために開発されたプログラミング言語です。通な人は単にCと言います。正式名称がCなのです。
 C言語の特徴としては、構造化プログラミングが容易であること、移植性が高いことがあげられます。
VisiCalc
 表計算ソフトとして初めて登場したのはパーソナルソフトウェア社のVisiCalc(ビジカルク)です。このソフトは、アップルコンピュータやタンディなどが販売した8ビットパーソナルコンピュータで使うことができ、非専門家でも業務に使えるソフトとして話題になりました。パソコンは趣味の範囲でしか使えないと思われていたのですが、仕事にも使えることを証明しました。

 表計算ソフトのことを情報処理用語では【スプレッド・シート】と言います。
 スプレッド(spread)とは、料理を食卓に並べるという意味です。シート(sheet)とは、敷布のことです。テーブルクロスの上に料理を並べる感覚で計算ができる。そんな手軽さを表現しているのでしょう。

 表計算ソフトは大量にメモリを使用するソフトであるため、大規模な集計作業に使えるようになるのは、16ビットパソコンが登場してからでした。

 表計算ソフトは、第4世代プログラム言語に分類されています。
BASIC09
 BASIC09は、OS-9というOSに付属されていたプルグラム言語です。

 8ビットCPU商戦で遅れをとっていたモトローラは、のちに”究極の8ビットCPU”と呼ばれた6809の開発を進めていました。
 CPUの設計と並行して6809の性能をアピールするため、優れた構造化BASICの開発を進めました。このとき作られたのが一部で不朽の名作と呼ばれたBASIC09です。

 「新しいBASICには新しいOSを」ということで、BASIC09を開発していた人たちによって、新しいOSの開発が始まりました。これが、OS-9とマイクロウェア社の始まりです。
HyperTalk
 HyperTalk(ハイパートーク)は、HyperCardというアプリケーション・ソフトで使うプログラム言語です。正確には、スクリプト言語と言います。

 HyperCardを使えば、プログラムが組めなくても簡単なアプリケーションを作ることができましたが、HyperTalkと呼ばれるスクリプト言語と組み合わせると、複雑なアプリケーションが作れました。

*HyperCardは、Mac OS用のソフトウェアで、世界初のマルチメディア・オーサリング・ツールといわれています。開発したのは、アップルコンピュータ社のビル・アトキンソンです。
X-BASIC
 X68000というパソコンに添付されていたBASICです。
 X-BASIC(エックス・ベーシック)は、変数宣言、構造化プログラミングなど、C言語に近い文法でした。
 別売りのCコンパイラには、X-BASICのプログラムをC言語に変換するツールが付いていました。このツールでX-BASICのソースコードを変換すれば、コンパイルして実行することが可能でした。
 
 ■オペレーティングシステム

CP/M(Control Program for Microcomputer)
 デジタル・リサーチ社が開発したパソコン用の基本ソフトです。Z80やi8080といった、80系の8ビットCPUを使っているパソコンでの使用が前提となります。フロッピーディスクを使った入出力管理が行なえます。

 CP/Mを使うには、主記憶装置は最低でも16Kバイト、最低一台のフロッピーディスク装置(当時は8インチ)が必要でした。
標準入出力
 標準入出力とは、OS-9が実現した処理の流れです。特定の入力装置や表示装置を指定しないで入出力を行うための機能です。

 1981年当時、一般的な入力装置はキーボードであり、出力装置はディスプレイでした。入出力先を変更する場合は、プログラムの変更が必要でした。
 これに対し、OS-9は標準入出力を実現していたので、プログラムを変更せずに入出力先をディスプレイやプリンタに切り換えることができました。

 標準入出力を利用するとパイプライン処理が行なえます。
 パイプライン処理とは、Aというプログラムの出力を、Bというプログラムの入力にして、処理の流れをつないでいくというものです。

S-OS SWORD
 ソフトバンクが出版していた「Oh!MZ」という雑誌の1985年6月号で発表されたOSです。CPUにZ80を搭載した日本製のパソコンを対象に広がりました。
 発表当初は、S-OS MACEという名称で発表されました。MACE(メイス)というのは、打撃系の武器、こん棒のことです。
 MACEは、フロッピー・ディスク非対応でしたが、1986年2月号でフロッピー・ディスク対応版のS-OS SWORDが発表されました。こん棒から剣へと強化されたのです。
 S-OSは、ロールプレイングゲームのプレイヤーが装備する武器のように、月日の流れとともに強化されていきました。ロールプレイングゲームの主人公のように、読者にも成長していって欲しいという編集者たちの願いが込められていたといいます。マシン語入力ツールやアセンブラ、コンパイラ、エディタなどを発表し、プログラム開発環境が整えられていきました。
 S-OSのツールの中には、ソフトウェアを開発する会社でも使われたツールがあったといいます。
 
 その後、SHARP社製のパソコン以外にも移植が進みました。PC-8801を皮きりに、16ビットパソコンのPC-9801、エプソン社のPC-98互換機など、様々な機種に移植されました。Z80CPUを搭載していないパソコンではCPUのエミュレートまでして移植されたのです。
 CPUのエミュレートで動いていた、X68000のS-OS SWORDの実行速度は、Z80CPU搭載パソコンに換算して0.7メガHz程度であったと記憶しています。
 フロッピーディスクが2Dに対応していない機種では、イメージディスクが用いられました。

Human68K
 シャープ社のパソコン、X68000のオペレーティングシステムです。コマンドはMS-DOS互換で作られていました。そのため、MS-DOSからX68000に乗り換えても、無理なく操作することができました。
 フロッピー・ディスクのファイルフォーマットも互換性があったので、家庭のX68000で文章を書き、会社のMS-DOSで読み込むということが可能でした。

 パソコン業界は、MS-DOSフォーマットへの移行時期でした。


SX-Window
 1989年、X68000にグラフィカル・ユーザー・インターフェイスという操作環境が用意されました。
 デスクトップには掃除機のアイコンがあります。削除したファイルは掃除機に吸い取られました。
 X68000を開発したのは家電メーカーのシャープです。アイコンに掃除機が採用されているのも納得できます。


Mac OS 7.5.1 (漢字TalK 7.5.1)
 アップルコンピュータ社のマッキントッシュ用に開発されたOSです。
 インターネットや電子メールも利用できました。
 MS-DOS形式でフォーマットされたフロッピーディスクの読み書きにも対応していました。
 
 ■ユーティリティ / アプリケーション

デフチャーツール
 デフチャーツールは、シャープ社のX1というパソコンに添付されていたユーティリティソフトです。PCG(キャラクター定義装置)に自作キャラクターを定義する時に使います。BASICで記述されていました。

 当時の家庭用ゲーム機やホビー向けパソコンにはスプライト機能が付いていましたが、パソコンには付いていませんでした。
 シャープ社のX1には、スプライト機能に代わる、PCG(Programmable Character Generator)という機能が付いていました。この機能を使うと、少ない負荷でキャラクターを表示させることができたので、ゲーム作成に威力を発揮しました。

*ユーティリティとは、電気、ガス、水道などのライフラインのことです。つまり、ユーティリティソフトとは、コンピュータを使う上で、無ければ困るソフトウェアのことです。


FORMAT & COPY.Uty
 シャープ社のパソコンに同梱されていたプログラム言語(CZ-8FB02)のディスクに入っていたユーティリティです。フロッピーディスクのフォーマットやコピー(バックアップ)を取るためのソフトです。

HyperCard(ハイパーカード)
 HyperCardは、アプリケーションソフトを作るためのアプリケーションソフトです。開発したのは、アップルコンピュータ社(現アップル)のビル・アトキンソンでした。

 HyperCardを使えば、プログラムが組めなくても簡単なアプリケーションを作ることができました。カードにボタンを貼り付けるとそのボタンが機能し、クリックすると音楽が流れたり、映像が出たりしました。複雑な処理をさせたいときは、HyperTalkと呼ばれるスクリプト言語と組み合わせてアプリケーションを作ります。
 ボタンを押すと目的のカードに飛んでいくハイパーリンク(ハイパーテキスト)の機能も実現していました。
 アップルコンピュータ社は、「コンピュータというものは優れたソフトウェアがなければ専門家の道具にしかならない。一般の人たちに使ってもらうためには優れたソフトウェアが必要である」という意識の強い会社です。それを形にしたのがグラフィカル・ユーザ・インターフェイスを実現したMac OSであり、HyperCardなのです。


*HyperCardは世界初のマルチメディア・オーサリング・ツールといわれています。